ワラ打ち石(わらうちいし)

 わら細工のために農山村のどの民家にも、玄関であるドジの片隅に石が埋め込まれていた。これの上でワラをキヅチでたたき、細工しやすい状態にした。

ワラ細工(わらざいく)

 その昔、夜の長い冬がくると、いろり端で夜なべをするのが当然の日課だった。夜なべ仕事のなかでも、わら細工を製作するワラ仕事がもっとも多かった。
 まずワラをワラ打ち石の上にのせて木槌でたたく。そうすることでワラが柔らかく細工が容易になり、しかも折れにくくなって丈夫になる。ワラスキですいてハカマ(株もとの葉)をおとす。また、バンドリなど作るものによってはニゴ(ワラの穂先部分)を抜いて、その部分だけを用いた。
 こうして加工したワラを用いてさまざまな道具を作った。ゾウリ、ワラジ、炭ゴモ(木炭を入れるこも)、米俵、ムシロ、縄、ホウキのような一般的なものから、テゴ、ネコダ、ミノ、また冬の必需品であるズンベ、ウマノワラジなど。これらを自家用にしたほか売って収入を得ていた。
 ワラだけでなくスゲ、シナの皮、山ブドウの皮、麻などを編んだり織ったりして、砥石を入れる袋やハバキ(すね臑当て)、スゲムシロなどを作った。大野郡宮村では、ヒノキやイチイを薄くへぎ、2分前後(約5〜6?)の幅に裂いだヒデ(経木)を編んだ編笠が盛んに作られた。4月から10月にかけての土・日・祝日にはヒノキ笠の製作実演を旧紺谷家で行っている。